生きることは食べること、日本の食と農業を守りたい その4

 「伊賀豚」のブランドで大手スーパーに売り込みを開始しました。毎週土曜日にスーパーに立って試食販売をしてたときに、衝撃的な場面に出合ったのです。時はバブルの真っ最中、桐の箱に入った「手作りハム」が1万円でどんどん売れているのです。原価は10分の1、加工品になると付加価値がつくことを知りました。
 自分たちは、一生懸命おいしく安全なブタ肉を作っても、原料で売っている限り、利益がない。そこで気づきました。たとえば、大手ハムメーカーは球団を持つまで成長しています。小売業もメーカーも成長するけれど、衰退するのは農業だけ。木村社長と吉田専務は、農家の人たちに言ったのです。「これからの時代は自分たちで作って、自分たちで加工して、自分たちで売る。それしか生き残れない。」と。
 賛同する農家から出資金を募り、木村社長と吉田専務は農協の退職金をつぎ込んで作ったのが、25年前の「モクモク」でした。
 「山の中の小さな工房という価値観で、手作りで手間暇かけて品質のいいものを作ろう。そうすれば、絶対売れる。」と信じて取り組みました。でもそれは、間違いでした。売れないのです。隣の売り場の大手のハムはどんどん売れているのに・・・・。半年で、倒産の危機に!木村社長と吉田専務は、途方に暮れてしまいました。
 そんな時、あることがきっかけで光が見えてきたのです。続きは次回で。
                                                                                                                                                                          「致知」より